人生はあかるい

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「パパは途中から来たんだよ」 子どもから見た、わたしたち家族の話

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去年の冬、わたしたちは家から近い温泉にいた。そして温泉では度々あったことだけど、当時4歳の子どもは、露天風呂で会った初対面の子と友達になった。小学1年生のNだった。

Nはショートヘアのハツラツとした子で、二人はすぐに打ち解けて遊んでいた。「名前はNちゃんっていうんだね」とわたしが言うと「呼び捨てでいいよ」と返すようなすごくカッコいい子だった。

Nは妹ができたように喜んで、風呂上がりには4歳児の髪をドライヤーで乾かしてくれた。4歳児もお姉ちゃんができたように懐いていた。

脱衣所の洗面台に座りながら、4歳児は「おうちにもお姉ちゃんがいるんだよ」と家族をNに紹介した。お姉ちゃんとはわたしの実家に住んでいる、当時25歳だったわたしの妹のことだった。本当は4歳児から見れば叔母さんにあたる。だけど重めの知的障害がある妹は大人でも子どもでもあるような存在で、4歳児にとってはお姉ちゃんと呼ぶのがしっくりきていたようだった。

わたしは、4歳児が人とは違う妹をあたりまえに「お姉ちゃん」と紹介したことが嬉しかった。一方でNは、4歳児が自分だけの妹じゃないとわかり少しがっかりしたようで、それもまた可愛かった。

そしてもう一つわたしにとって嬉しいことがあった。4歳児はこのあとも家族紹介を続けて、「パパは途中から来たんだよ」と言った。わたしと夫は子どもが3歳のときに結婚して、同時に夫は子どものパパになった。そのことを4歳児は「途中から来た」と表現したのだけど、それはもうあっけらかんと言ってのけた。Nは「ふーん」という感じで聞いていて、それから二人はお互いにパパ自慢を始めた。

わざわざ「途中から来たんだよ」と紹介したということは、4歳児もそれが普通ではないことはわかっているはず。その上でなんの引け目もなく初対面のNにそれを伝えた。パパが生まれたときからのパパではないことも、みんなと同じ家族のあり方でないことも、この子にとってなんらネガティブなことではないんだと気付けた出来事だった。